修士海外学外実習
このプログラムでは、修士学生を米国、欧州、アジアの企業、研究機関に実習生として派遣しています。3割近くが約2か月間滞在し、異なる発想を持つ海外研究者と共同で研究する体験をしています。
募集概要
留学先 | 米国、欧州、アジアなど |
---|---|
募集人員 | 10名前後 ※選考あり |
対象者 | 大学院生(修士) |
期間 | 8週間 |
単位 |
|
研修内容 | 海外の企業あるいは研究機関などで実習を行う。これにより、コミュニケーション、マネージメント、課題発見、問題解決能力を養成するとともに、グローバルな環境で活躍するための能力も養成する。 |
体験者の声
修士課程 2年
エネルギー材料研究室
村瀬 公希さん
向陽高等学校(愛知県)出身
■学外実習先 :米国 ノースウェスタン大学(Northwestern University)
■留学期間 :2022年9月20日-11月18日(2ヵ月間)
■実習先での研究テーマ:空気中での複合材料効果を利用した高い熱電性能の実現
1.本学でこれまで行ってきた研究
修士課程では、熱電材料の研究を行っています。熱電材料とは、温度差を与えることで電力を生み出すことができ、SDGsにもつながる、昨今、注目を集めている材料です。一方で、優れた特徴を持っているにもかかわらず、発電の変換効率が低いため、大規模な実用化に至っていないという課題があります。
学部時の卒業研究では、研究室で創り出した独自の測定機構を用いて、ある材料の物性測定を行うことにより、既存材料よりもはるかに高い発電性能を得ることに成功しました。現在は、この材料を用いた発電の実用化を見据え、発電性能の検証や改善、特殊な条件下でなくとも同様の結果が得られる発電素子の設計に取り組んでいます。
2.修士海外学外実習参加の目的
実習先のノースウェスタン大学は、米国イリノイ州シカゴ郊外に位置し、熱電業界では大変著名な、世界トップレベルの研究を行うJeffrey Snyder教授がいらっしゃいます。そのSnyder教授の下で、前述した独自の測定機構を用いた実験を行い、本学での優れた成果を直接示すことで、材料および素子の性能向上とその応用方法に関して深い議論ができると考えました。
また、Snyder教授からのアドバイスやフィードバックを研究室に持ち帰り、我々の研究を発展させたいという目的もありました。そこで、指導教員の竹内恒博教授に交渉をしていただき、本学からは初の受け入れとなる学外実習の参加が叶いました。
3.実習先での研究内容
実習先では、本学の研究室で作製した複雑な測定機構を、簡素化した装置として一人で一から創り出し、それを用いて、実用化の際に想定される空気中での物性測定を行ってきました。当然、すぐに思い通りの結果は出るはずもなく、Snyder教授と頻繁に議論を重ね、アドバイスをいただきながら機構の改善を繰り返しました。最終的には、簡素化した測定装置を用いて、卒業研究で得た優れた結果を空気中で再現することに成功し、今後の改善点なども明確にすることができました。
4.将来的には
今回の修士海外学外実習を通して、慣れない地でも一人で実験を遂行し、教授や研究室メンバーと専門的な研究の議論を深めつつ、限られた期間内に一定の成果を出すことができたのは大きな収穫となり、その後の自信へとつながりました。
豊田工大で過ごした6年間を振り返ると、主体的に考えて積極的に行動する力や、論理的に話し合う力、語学力などを養うことができました。その力は、グローバルに働いて活躍したいという将来的な目標の実現に必ず活きてくると思い
ます。