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豊田工業大学

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熱エネルギー工学

燃焼、伝熱、エネルギー、環境、安全工学

燃焼?ガス化?伝熱および新エネルギーに関する基礎研究

高圧噴流拡散火炎の着火および保炎機構の解明

ロケット,ボイラー,ガスタービン等のほとんど全ての燃焼器では,加圧した燃料を噴出して燃焼を継続させています.また,注目されている水素ステーションには1000気圧程度の高圧水素が備蓄されており,地震などのアクシデントでそれが噴出した場合の現象は,完全に予測しておく必要があります.高圧気体が周囲の空気と混合して着火する部分では,噴出条件によって決まる混合乱流スケール(波数),流速,化学反応速度の相関で保炎の可否,および保炎位置が決まることが見いだされました.

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乱流スケール(波数)とエネルギ―の関係

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撃波を伴う高圧噴流火炎の保炎モデル

接触熱抵抗の解明

接触している2つの固体の接触面を通して熱が流れるとき,その接触面におけるそれぞれの固体の表面温度は等しくならず温度が見かけ上不連続になり,熱移動が阻害されます.コンピュータのCPUの高出力化や原動機の冷却など,この接触熱抵抗を減少させることが求められます.太陽から強烈な輻射を受ける人工衛星では真空中なので対流伝熱が無いため,接触熱抵抗の減少は大きな課題です.右図は宇宙空間の熱抵抗の問題を視野に入れ,雰囲気圧力と接触熱抵抗の関係を実験的に計測した例を示します.高真空では分子同士の衝突は無視できる完全な分子流になりますが,圧力が増加するに従い,分子同士の衝突,すなわち分子拡散が始まり,圧力依存性が見られなくなります.

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固体同士の接触面における熱抵抗

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接触面の空隙内のN2分子による熱移動シミュレーション
(DSMC molecular simulation)

高粘度粗悪燃料の有効利用

原油からはベンゼンやキシレンなどの化学物質や,水素,ナフサ?ガソリン?ジェット燃料?灯油などの燃料が精製されますが,近年,精製技術の発達により,最終的に精製されずに残る残渣油の性状が粗悪化しています.この高粘度な粗悪油は主に大型ボイラーや大型ディーゼルで消費されますが,高粘度油は霧化が困難で未燃分(煤塵)を多く出し,環境悪化につながります.そこで,キャビテーションという現象を利用し,噴霧ノズル内で液体を気体に相変化させる機構を研究しています.右図はノズル内でキャビテーションが初生する機構を,シャドウグラフ写真法により観察した例です.ノズル内において高せん断流れの境界が形成され,そこに強制渦が発生し,その渦中心部の圧力低下よりキャビテーションが初生することがわかります.

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ノズル内でのキャビテーションの発生と発達(シャドウグラフ観察)

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PIVによるノズルスロート内の液体の流速分布計測

粗さのある金属平面における熱伝達の研究

金属面に粗さがあると伝熱面積が増加するため,熱伝達係数が増加することが経験的に知られていますが,系統的に調べられた例は見当たりません。金属表面の粗さや微視的形状の変化と①熱伝達係数,②表面流れの状態の関係は,粗さスケールにより伝熱機構が変化すると推定されます。例えば10μmオーダー(層流底層スケール)より小さい表面粗さでは,表面流れに乱れは生じない領域であるが,10μmの平均粗さの表面では熱伝達係数が滑面より10%程度増加したとの報告があります。また,数μmの表面粗さを有する金属面における熱面発火温度は,滑面における値より低下することが下図のように知られています。このスケールでは,流れと伝熱の相似則が成り立たない表面近傍での熱流体現象が生じていると推定されます。また,30~100μmオーダー(コルモゴロフスケール)まで表面粗さが増加すると,表面流れに乱流渦が生成する可能性が生じ,表面粗さ内での局所的滞留が熱伝達に大きく影響すると考えられます。

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表面の平均粗さと発火温度の関係
(当量比(φ)=0.4~1,u=0.5m/s)

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