豊田工業大学 研究センタースマート情報技術研究センター
2021年設立 センター長:浮田宗伯
【表面科学研究室】機械学習技術を活用したナノマテリアル材料の開発?評価
教授 吉村雅満、准教授 原正則
研究テーマ
- プローブ顕微鏡(SPM)の高分解能化?高機能化
- ナノカーボン合成プロセス最適化のための条件抽出
- ナノシート構造体の形状観察による物性予測
主な研究内容?成果
①プローブ顕微鏡(SPM)の高分解能化?高機能化
SPM像はプローブ先端と試料表面との相互作用により形成される。プローブ先端が先鋭だと、分解能が高く真の構造を描くことができる。本研究では、データ取得法の改良や機械学習技術を利用し、先端が劣化したプローブで得られるぼやけたカーボンナノチューブ(CNT)構造(b)から、シャープな真の構造(a)を再構築するための要素技術やSPMの高機能化に関する研究を行う。
機械学習技術を用いたSPM像の再構築
②ナノカーボン合成プロセス最適化のための条件抽出
CNT等のナノ炭素材料の合成では、基板の組成?構造、触媒量、炭素源、反応温度?圧力、合成時間など多くの要素が影響する。これらの合成条件に対し、コンビナトリアルケミストリー合成とマッピング評価(物性)などのデータを機械学習により関連付けることで、目的物の最適な合成手順の探索が可能となる。
CNTのアルコール触媒CVD合成の原理図
③ナノシート構造体の形状観察による物性予測
2次元シート材料(グラフェンなど)では高面積シートの作製は容易ではなく、一般に複数のフレークをモザイク状に配列した単層膜が用いられる。しかし、フレークサイズや配列により特性が影響されるためシート性能の予測が困難である。そこで、シート形状から物性予測を可能とするための機械学習技術を探求する。
フレークサイズ分布の異なるグラフェン膜のSEM像
SEM像で観察した各グラフェン膜の特性