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戦略的創造研究推進事業(CREST) -藤 貴夫 教授-

超短赤外パルス光源を用いた顕微イメージング装置の開発と生命科学への応用

国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)

戦略的創造研究推進事業(CREST)

「超短赤外パルス光源を用いた顕微イメージング装置の開発と生命科学への応用」

2017年度開始 研究代表者:藤貴夫 教授

2μm帯の高出力フェムト秒パルスレーザー

分子の振動エネルギーに共鳴するコヒーレント中赤外光(波長3–20μm)発生において、2μm帯で発振する高強度レーザーからの波長変換が非常に有効であることがわかっています。本プロジェクトでは、2μm帯でフェムト秒(10?15s)パルスを発生する高強度固体レーザー装置を開発しました[Opt. Express 26 29460 (2018)]。写真はそのレーザーの心臓部分です。実際に、このレーザーを使って、コヒーレント中赤外光発生も実現しました[Opt. Express 27 24499 (2019)、Opt. Express 28 29918 (2020)など]。現在はファイバーラボ株式会社と協力して、新規2μmレーザーの製品化を進めています。

赤外イメージング分光のための光源開発

高速で高解像度の赤外イメージング分光で有用と考えられる光源を開発しました。フィラメンテーション法という研究代表者独自の手法によって、10μm程度を中心波長としたコヒーレントな光を発生させました[Opt. Express 28, 36527 (2020)]。写真は実際に赤外線を発生させている様子です。高強度のレーザーを気体中に集光し、非線形過程によって波長変換を行っています。この光源を使って、脳の病気の原因と考えられている物質の形成過程や分布の特徴を観測することを目指しています。この研究は、主に名古屋工業大学と協力して進めています。

新規レーザーを光源とした3光子顕微鏡

3光子励起では、入射レーザー光の3倍の光子エネルギーで励起した場合と同じような現象が起こります。3光子顕微鏡は、そのような励起によって発する蛍光を測定するレーザー走査型共焦点顕微鏡であり、高い強度の光源が必要です。この研究では、1800nmに中心波長をもったフェムト秒パルスレーザーを開発し、それを3光子顕微鏡に応用しました。写真は測定したHeLa細胞(左)とマウスの海馬切片の神経細胞(右)です。これによって、従来の顕微鏡よりも深い浸透度が得られることが期待されます。このレーザー装置を生理学研究所に設置して、生きた動物の脳の神経細胞の様子をリアルタイム計測することを計画しています[OSA Continuum 3 1428 (2020)]。

研究成果報告(2017年度~2022年度)

本プロジェクトの成果報告会を実施いたしました。(2023.6.15実施)

研究成果プレスリリース