外国語分野(英語)
手話言語学、日本手話、音素配列論、音節、適格性
日本語と異なる日本固有の言語「日本手話」の文法解明
手話音素配列論:異質な音節構成要素の組み合わせを探る
日本手話では、手型?位置?動きの3つのカテゴリに属する有限個の要素と、その他いくつかのマイナーな有限個の要素が1つまたは2つずつ結合し日本手話音節を形成している。音節構成要素の組み合わせには制約(音素配列論)があり、数学的に可能な組み合わせのすべてが適格な(well-formed)音節とはならない。質的に異なる手話音節構成要素がどのような原理に従って相互に関係を持ち音節の適格性を作り上げているかを研究している
適格音節データベース
両手は自由に動かせない
両手手型が異なる音節(タイプ3)は顎よりも下の位置で表されなければならないことが分かっている。日本手話では、顎から下で利用可能な位置は、身体の前の空間(NS)と胴体(TK)の2つだけである。顎の下から腰までの位置をA-zoneと定め、A-zone内で左右の手が存在できる位置を調べた。その結果、これら2つの位置と左右の手の4通りの組み合わせのうち、利き手がTKかつ非利き手がNSに位置するものは存在しないことが明らかになった。
A-zone
機械学習を活用した手話言語研究
音素配列論を検討するために、適格音節データベース(以下DB)と不適格音節DBをインプットとして機械学習を行った。具体的には畳み込みニューラルネットワークおよび決定木を利用した。決定木は5層、10層、15層、20層、25層、30層の各パターンの機械学習を行った。そのうち、タイプ3の5層と10層の結果を言語学的分析に活用し、非利き手U手型の中手骨上方向は許されない、非利き手B手型は掌後ろ向き中手骨下方向の構えは許されない(例外1例のみ)等の知見を得た。
決定木(10層)を使った例